花は、/NARUKO
るのに
花は、目的ではないんだよ
と
あなたの声がする
花は、実がなるための手段なんだ
と
そんなあなたの声を聞きながら
わたしは、下腹部に手をあてる
宿せることの出来なかった
蕾をそっと暖める
そのうち、空を目指しながらのばしていた枝葉も
少しずつ冷えてゆく地球の体温に耐えられず
力尽きて、地面へと還ってゆくのだけれど
星空は暖かく抱きしめてくれるから
木枯らしをゆりかごにしながら
そっと眠ってゆくんだ
花は、目的ではないんだ
と
わたしは相槌を打つ
花は、実がなるための手段なんだね
と、
わたしは、
あなたのてのひらをまさぐって
ぎゅっと、にぎりしめて
あなたの歩幅にあわせて
歩いてゆく
また暖かくなって
宇宙まで手が届きそうに晴れ上がったら
桜
見にゆこう
戻る 編 削 Point(2)