花は、/NARUKO
宇宙まで手が届きそうに
よく晴れ上がった日曜
走る車には、
運転席と助手席にふたりだけ
高い青に向かって
咲き乱れる桜を見に行く
ふたりだけの家族
花は、目的ではないんだよ
と
あなたは言う
花は、実がなるための手段なんだ
と
そんなあなたの肩の上
うす桃色の花びらは
風にゆれながら
かすかに笑う
それから、また毎日をかさねてる
満開だった花たちは、一枚も残っていない
青青と茂る葉っぱで覆われる桜並木
振り返る人も
仰ぎ見る人もなく
やっぱり、高い青に向かって
枝葉は、揺れながら腕を一杯に広げているの
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