腐りかけのBanana/板谷みきょう
味も判らない 色の思い出したくない
僕の身体が昔より 元気になったからなのか
枕元にあった 初めて見た黄色いBanana
正月の喜びと 帰ってきた親父の笑顔
出稼ぎに父さんたち 土産に買った
店を探していた 故里で待つ家族へ
飾られた売り口上に 押し寄せる人波
本当の旨さ 思い出すよ 腐りかけのBanana
いつも聞こえてた 熱で咳も止まらず寝てた
窓越しに町を見たら 微かに声 聞こえてきた
Bananaは知っていた ボクが病気と遠足に
皮剥き食べる喜び 優しい母が手招いた
華やいだ祭りの中 騒がしい人垣に
指を咥えて
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(1)