サボテン/ゆうと
 


シロ、


あのひとはいつも
わたしをシロってよぶ
ほんとうのなまえじゃない
なんでかはしらない

いつのひだったか
わすれてしまったけど
なんでシロってよぶの、
そうきいたら
あのひとはいつもとおなじように
わらいながら
なんとなく、ってこたえた




きょうはあめがふっているから
わたしはずっと いえのなかにいた
なにをするでもなく
なにかをしたいわけでもないので
なにもしない、ということをしていた
あめのおとをきいたり
すこしねむったりしているうちに
いつのまにかゆうぐれで
あめはすっかりやんでいた

ベランダから
うすく
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