キコ/ねことら
 
ることさえできなくて自分を傷つける真似ごとばかりしていたね



直線直線直線破線、散って、鮮やかなライトグレー
飛び散る点と点に
)なりたいの?
)なりたいの



暗い春のように微笑みあって
静まった夜、最後の花が散るように、スプリングの壊れたベッドの上
ふたりで脆く抱きしめあえば
キスはいたくて、息をすれば酸素が刺さって、


ねえ、


もうとっくに、いいんだよ


キコ


それでもぼくは、これからも
ごはんをたべて、なんども眠り
あたらしい誰かを愛してさえ
いかなきゃ、
ならない



寒い夜は、きらきらする痛みとともに
なつかしい歌をおもいだす
キコ、きみが好きだった歌だ
甲高い声をあげて過呼吸のように
題名のないこの歌を歌った
この歌だけが、ずっときみだったね





僕にはもう、歌えない歌、





キコ







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