[夢合わせ〜二夜]/東雲 李葉
雨が降っているから電車は動かないという。
見慣れぬ駅を出てすぐに私は自転車にまたがった。
多少の雨など気にしない。雲の流れは速く速く。
ペダルを強く強く踏みその速度を追い越すように。
晴れ間を求め先へ先へ。
やがて私は一つの目的を見いだす。
海だ!私は青い海が見たい!
群生する雲を追い越せば、空は鮮やかな水の色。
海へと繋がる長い坂道を怖気づきながらも飛ぶように下る。
下った先にはなんとも奇怪。四角く区切られた小さな海。
いつしか出てきた若い男は近くのアジトに忍び込むという。
それは何の関係があるのか私はまた新たに湧き出た母子の手を引き泳ぐ。
「色が濃いところで離さないでね
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