R305/木屋 亞万
 
ゃーーーとおじさんが崖から飛び降りていった
どうやら修行中のようである
さすが東尋坊、道を窮めてますなと
海からよじ登ってくるおじさんを見ながら微笑む
そう簡単に死にゃあしないよね

私を追い詰めるのは
私の周りの人間のちょっとした指の一突き
すべての自殺は他殺である
なんて誰の言葉だったか
フワンフワンとバイクをふかし
R305を北上していく
日本海は気持ちいいくらい荒れている
遠くの方でサイレンの
悲しい音が響いた気がした



戻る   Point(3)