つくろうひと/
恋月 ぴの
みたりした
私がまだサンタクロースを信じていた頃
枕元には靴下を並べ
兄弟ふたり早々に床へつけば
二つ違いの弟が手を繋いで欲しいと甘えてきた
つれなく跳ね除けてはみたものの
悲しそうな横顔に負けて右手を差し出す
あの時の弟が私に求めてきたもの
それは不在がちな母の身代わりだったのか
それとも夢見ごこちへと誘う水先案内だったのか
今となっては面と向って問い質す訳にもいかず
枕元に並べた靴下の顛末など尋ねて話しを逸らした
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