つくろうひと/恋月 ぴの
 
私がまだサンタクロースを信じていた頃
父方の祖母と同居していて
私たち兄弟の面倒をみてくれていた
今にして思えば幼さ故とは言え
彼女には随分と理不尽ことしでかしたものだと悔いる

それなりの家から嫁ぎ
それなりの人生を送ってきたはずの老女がひとり
我が儘な孫ふたりの面倒を押し付けられ
団地サイズの平板な日々
小さな背中で生き長らえることに耐えていた

毎年クリスマスシーズンになると
美容院を営んでいた母の帰りは普段に増して遅くなり
私は祖母と弟の三人で母の帰りを待った
その頃は団欒の証しコタツがあって
もぐもぐと入れ歯を舐め続ける祖母の横顔に
訳も無く苛ついてみた
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