みじかい糸を編んでいる/ホロウ・シカエルボク
みじかい糸を編みあげたあとになにが残る
わずかな加減の間違いでちぎれてゆくものたち、さよなら、さよなら、空に死んでゆく糸の破片たち、さよなら、さよなら、この空は低すぎる
みじかい糸を編んでいる
みじかい糸を編んでいる
こじきのように
あばずれのように
古い感触のなかへ流れ込んでいくなにもかも
送ることすらままならぬ暗闇の絶対
低く晴れた空をゆけ、低く晴れた空をゆけ、無作法に送ってくれるものたちの名札には「皆無」
彼方で迎えてくれるものたちの名札には「移動」と書いてある、低く晴れた空をゆけ、低く晴れた空をゆけ、脳のつまったぼうやの目つきのようなどろんとしたぎこちなさで、はかなくちぎれてゆくものたち、おまえの名札には
「ひかり」とだけ記されている
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