オリオン/いのせんと
オリオンの囁きが聞こえたような気がして
闇が続く空を、見上げた
白い息が流れて行くのが見えだけど
それは、さっきまではアナタの言葉だったモノ
ほら、
もう音も意味も無くなって
ただの水蒸気の粒になってしまったよ
空中へ放り出されて、もう
どんな言葉だったのかなんて
誰にもわからない、誰にもわからなくなって
しまったんだよ
ただ、
私の濡れた瞳だけが、きっと
知っているんだね
アナタが放った言葉の意味を
オリオンは、小さく囁く
小さな私は、耳を澄ます
濡れた瞳は、瞬くオリオンを映した
戻る 編 削 Point(2)