オリオン/いのせんと
 

オリオンの囁きが聞こえたような気がして
闇が続く空を、見上げた

白い息が流れて行くのが見えだけど
それは、さっきまではアナタの言葉だったモノ

ほら、
もう音も意味も無くなって
ただの水蒸気の粒になってしまったよ
空中へ放り出されて、もう
どんな言葉だったのかなんて
誰にもわからない、誰にもわからなくなって
しまったんだよ

ただ、
私の濡れた瞳だけが、きっと
知っているんだね

アナタが放った言葉の意味を



オリオンは、小さく囁く

小さな私は、耳を澄ます
濡れた瞳は、瞬くオリオンを映した


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