/キリギリ
の籠りっぷりだったと思う
若かりし私は他に見るものもなく己の深淵を覗いた
覗かれていたようにも思えるどちらにせよ俗悪な根性は共通だった
私は私を突き上げる
それも労働組合のように力強くではなく目を伏せ何と言うか
あぁもう迷惑だなぁ、と言うような素振りでぐにぐに突き上げるのだ
そして私はじわじわと足場を失う
そしてでろん、とだらしなく落ちる
仕方なかったのだ、と笑う
なに1つ変わってはいない
或は私は私の中にもう1人の私を見つけなかった
うーんと潜っても私の意識は1つだった
そこで見た景色は例えるならば通行量の多い道路に面した空き地である
草が生え空き缶、マネキン、
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