白い月/松本 卓也
これが何本目だったか
数えるのは野暮と言うものだ
どれだけ飲んでも酔えはしないで
こつこつと刻む夜が在る
一日中雨が降っていて
何時間寝ていただろう
疲れはまるで取れないが
もう既に明日が来てるじゃないか
今日よりずっと寒くなる
抑揚のないアナウンスが
焦燥に満ちた時間を告げて
息もできないように
口と鼻を塞いでいく
現実を忘れるほどまで
頭が軽かったならば
根拠無く希望を描けるほど
不知に耽ることができれば
見え隠れする白い月でさえ
酒に塗れた瞳を通せば
嘲笑い歪んだ口が見えてくる
ただまどろみに溺れることさえ
自分に許すこともできないまま
心に染み入る詩を探して
今日をだらりと続けるだけ
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