冬ざれの歌(十七)/信天翁
 
      「時間」の回廊を這いまわる
             わくら葉には
         血の意思を秘めながら
     ゆめの饗宴に酔いしれた隻影が
    ぼんやりとその残像を残している

   「空間」の参道を劇場ふうに照らす
            天使の梯子には
      気の鬱帯がからみつきながら
       透徹したウラノスの摂理を
ほのぼのとその陰影の奥から漂わせている

 あゝ にびいろになった四次元のかなた
          重い緞帳の奥からは
                なぜか
     荘厳な神話の序章がもれてくる

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