わたしの飼い猫の名は/ヨルノテガム
 





わたしの飼い猫の名は
わたしの愛したひとはヨルノテガム
きょうはあなたの髪にふれたい季節です
ニャーオ、と肉球はあなたの頬をつかまえる
さっきから ずっと夜ね
幸せな顔をするためにわたしたちは
幾つの皮を剥かなければいけないのだろう
あなたはわたしの乳房や笑顔を見るために
忽然と猫に変化し 草木を見るのと同じ目で
わたしを見つめる よそよそしくてはじめて
わたしは大胆になり夜を抱き締めることができた
爪を伸ばして噛みついて尻尾フリフリ
あなたの横で踊り呆けていたい
猫耳つけて器用に舐めて毛づくろいもする
わたしは一匹の猫にニャれた
ヨルノさん 寝たの?
素敵な八重歯を生やしたから見て、ヒゲは描いたよ
ドラえもんじゃないよ 欠伸しないで、
朝よ、朝寝よ、今から朝寝のじかんよ
かわいいひと
温かくて
猫背で
よく眠るひと
もうわたしが猫になったのよ
名前付けて 名前呼んで 鳴き声聞いて 餌を与えて
あなたと同じこと わたしもしてみたいの










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