【短歌祭参加作品】空気の底/本木はじめ
 
幻聴が聴こえる視界がゆがむ・・ガガ・・・剃髪されて気付くナンバー



数世紀後に発掘されてああ、これは何だと問われるミシン



にんにくは嫌いだってさ人とゆう文字を憎むと呼ぶような音



舌を見せきみは無邪気に光づく空気の底が見える部屋(せかい)で



「指令塔応答しなさい」途切れだす通信「こちらイカロスの妻」



間違いを犯したひとに墓標なくこの広大な大地が棺



砂時計みたいに砂糖はさらさらと消えてく甘い日々の終末



縫い付ける釦いつしか見たような光景ぼくらも滅びるのだろ



真っ青な空の図鑑にぼったりと鼻血が落ちる前兆として



今は亡き東京しとしと時雨降る廃都に未だ夢抱くきみ





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