【短歌祭参加作品】空気の底/本木はじめ
幻聴が聴こえる視界がゆがむ・・ガガ・・・剃髪されて気付くナンバー
数世紀後に発掘されてああ、これは何だと問われるミシン
にんにくは嫌いだってさ人とゆう文字を憎むと呼ぶような音
舌を見せきみは無邪気に光づく空気の底が見える部屋(せかい)で
「指令塔応答しなさい」途切れだす通信「こちらイカロスの妻」
間違いを犯したひとに墓標なくこの広大な大地が棺
砂時計みたいに砂糖はさらさらと消えてく甘い日々の終末
縫い付ける釦いつしか見たような光景ぼくらも滅びるのだろ
真っ青な空の図鑑にぼったりと鼻血が落ちる前兆として
今は亡き東京しとしと時雨降る廃都に未だ夢抱くきみ
戻る 編 削 Point(5)