キミの名前は/
桜 葉一
な?
なんだかあたたかい気持ちになって
自分の名前を書く欄をみた
そこには見なれた字で既に名前が書いてある
僕の名前は親父が願いを込めて
付けた名前だと
子どものとき何度も聞かされた
ありがとう
初孫を見られるのを待ちわびる親父の姿を思い浮かべ
僕はそう呟いた
病室で
息子を抱き上げた僕は
その可愛らしい顔を除き込んで語りかける
キミの名前は……
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