きみが眠ったそのあとで、たった一つの本当を/山中 烏流
 



きみの世界が回る
その自転を知り、触れたいと思う
わたしが逆らっても
きみは進んでしまうから
追い付くことはない
 
 
 
きみを紐解くように
その髪を梳いている
 
きみが倒れないように
その腕を引いていく
 
きみが惑わないように
その瞳を射抜き続ける
 
そして、
きみを恐れぬように
その唇を塞ぎ続けていく
 
 
 
きみの鼓動が
耳を塞いでいるのに聞こえた
手をあててみたら
わたしと重なって聞こえてしまった
 
薬指で指切りをしたら
きみのいのちが見える
わたしのより一回り大きくて
真っ白だった
 
 
 
 
 
わたしにも世界がある
同じように自転をしていて
きみはそれを知る
 
きみが逆らうから
近付いてしまった
本当は、何よりもそれが
嬉しかった
 
 
 
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