老人と詩と/杠いうれ
は鉛と化す
目覚めているとき堪えられるよう わるいゆめを
せせらぎは遠くなる
――夜には車輪の慟哭がしゃしゃり出てくる、せめて未明に――
しずかに
羊が歩くゆめ
銅の羊だ
ちいさい、彼女の手の平にも乗るくらいの
その手で紫の花を摘んでおいで
すまないね、この部屋には花瓶すらないけれど
アイスクリームをあげよう
ピンク色の
苺? ソルダム? いずれにせよ甘い何かだ
若い娘さんよ
たくさんの詩(うた)を胸に抱えて
羊を連れてゆく
羊は唄う
穏やかな歩み
歩み、
柔らかなどぶのせせらぎ
陽と影を受け
窓から舞い落ちた 手垢だらけの紙
あの子が 追って来れなくなるまで
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