老人と詩と/杠いうれ
ゆうぐれを食む
四百の泡
無声音の多いスピーカーと
光沢のない爪の切れ端
みずさしに万年筆
薬瓶にクワガタソウ
柔らかなどぶのせせらぎ
羊が歩くゆめを ひととき
銅のやつをね、やったんだ。ちいさいやつさ
もう硬貨にでもなっちまったかな
いつも毛布だけが守り、染みを拵える
しみ、
すべらかな
なだらかな場所に落ちた
アイスクリームを
想う
それは記憶だったか 泡の上だったか
炭酸水のように
こみ上げてくるのは、
なんでも構わんよ、噛まずに済むならね
味なんてもう分かりゃしない
空の縁取りは鉛
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