息してる/
百瀬朝子
眠らない町で息してる
ネオンの輝き眩しすぎてくらむ
目の前が
足元が
見えないよ
迷い子の思春期 大人たちは神隠し
ミルク飲みの赤ん坊泣いている
灯りのない部屋 唯一の居場所
「探さないで下さい」の置き手紙
切なさで滲んだその文字は 誰の目にもとまらない
ネオンの届かないこの部屋の闇に溶けていくみたい
引き止めるのは小指に絡んだ細い糸
まだ見ぬあなたへとつづいてる
そう信じてもう少し
ここで息をしていよう
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