虹の棲家/aidanico
 
弁がなくっとも
種は自然と芽吹くよと

鏡の中のぼくは言う
ぼくの、たいせつな
顔を持ってかないでよと
ぼくはいう
誂えたてのジャケットの
釦が逆ではおんなだよ
それでなくとも
たとえ顔がなくっとも
お前はこころを映しだす

わたしのなかのぼくはいう
ぼくは、あなたの中にいて
狭苦しいよと講義する
わたしはいう
腹から出てきた赤んぼが
めだかのままでは肌寒い
それでなくとも
たとえばお前が泣くときは
外で息さえするだろと






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