虹の棲家/
aidanico
弁がなくっとも
種は自然と芽吹くよと
鏡の中のぼくは言う
ぼくの、たいせつな
顔を持ってかないでよと
ぼくはいう
誂えたてのジャケットの
釦が逆ではおんなだよ
それでなくとも
たとえ顔がなくっとも
お前はこころを映しだす
わたしのなかのぼくはいう
ぼくは、あなたの中にいて
狭苦しいよと講義する
わたしはいう
腹から出てきた赤んぼが
めだかのままでは肌寒い
それでなくとも
たとえばお前が泣くときは
外で息さえするだろと
戻る
編
削
Point
(3)