虹の棲家/aidanico
王様の肩の上の蛇はいう
私の、滑らかな
燕尾を返してくださいと
わたしはいう
お葬式には型押しは
きまりで持ってゆけないよ
それでなくとも
たとえ鱗が無くたって
うなぎでいればいいんだし
赤い目の飛び出たた兎はいう
ぼくの、柔らかい
一張羅取らないでおくれよと
ぼくはいう
結婚式には白いのは
夫婦になるしか着れないと
それでなくとも
例え毛皮が無くっても
真っ赤な目の奴ないんだし
小さな菫の花はいう
あたしの、華やかな
リボンを摘み取らないでよと
わたしはいう
面接行くのに藤色の
スーツをこさえていくかしら
それでなくとも
たとえ花弁が
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