カメリア/シギ
あなたを愛した 私が地に落ちる時に
あなたは気づかなくていい
だから雪には降らないで、と金の瞳で白く低い空を見上げていた
雪景色の中に私はなじむことが出来ず
いつものようにあなたを眺め続けることができない
ぽとりと命を散らすのではなく 落とすその瞬間まで
私はあなたを見つめていたい
嗚呼、お願いだから雪は降らせないで
冷たい風なら耐えうるが
あなたをじっと
じっと見つめることができない毎日を過ごすのは耐え難いこと
あなたの目にとまるより
あなたの手に掬われるより
私があなたを見つめていたい
まっすぐまっすぐまっすぐ
けれど
私が命を落とした その日には
あの雪と同じ色をした雲から 雪片が下りてくるのを願ってしまう
私はあなたの目に入らなくていい
あなたは私を知らなくていい
私はあなたの人生の背景の一部分でいいのだから
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