ピーマンショック/木屋 亞万
 
で話を止めるなよ」ソンは堪らずに言った
 「話しながら思い出して、また気持ち悪くなったんだよ」
 「視界の先に何があったんだ」

僕が目を落とすと、それが夢だったせいか
下から彼女のお腹を見上げる構図になったんだ
そこには彼女の切断された胃と肺があって
ピーマンの中身と種みたいに
胃とかアバラの空洞の先に
肺胞がバラバラくっついていたんだ
思い出したように彼女の身体から血が噴出してきて
僕は泣きながら絶叫した

 「それ以来、僕はピーマンを食べるどころか」
 「切ることもできないって訳か」
 「そう」
 「でも、俺も切りたくなくなっちまった」
 「だから言いたくなかったんだよ」

戻る   Point(1)