書くこと、まどろむこと、決めること/渡邉建志
くなることに、読書行為に向いていない。読むのは遅いし、いつも途中で退屈する。
ただ読書行為や読書家たち、作家たちに憧れているだけなんだとおもう。それもまた、曖昧な夢。)
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わたしは夢に憧れているだけで、エクリチュールという言葉の響きが要求してくるような、厳しい掘起しの作業を怠っている。
わたしが夢に憧れるのは、やっぱり、母が寝ているうちに産まれたからだろう、と思う。
わたしはひ弱で、どうしようもなく表現しなければならない衝動もなくて、でもいつも、
(存在していない)自分の音楽を聴いた後のような、自分の詩を読んだ後のような、もんわりとした感想だけを抱いている
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