おもいでの果実/こしごえ
顔をあらうが
おとし切れない
このゆううつなまなざしはどこから来るのか
気象電波探知機はしんみりと
雲ゆきを映す
私を通りすぎて行ったはずの
宙は 青ざめ照りつける日にたちつくす。
恐らく
ひんやりと零れる 微笑にひかれているのだ
ろう
とてもかたい 孤独な影のように
あおぐろくねむるすべやかな小石の深淵に
限界があるとしたら
たどりつけない素足のそれは
あわいみなしごの涙の果て
熟れた石榴石を背にする
ともしび
歩むしかない
私は
解析されない 雲路の先の
光さえとどかない淵に深く根をおろし
うっすらとさしこむそよぐ朝の約束を
果たすべく遠
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