インスタント/FUBAR
薄暗くほこりっぽい店の窓際
そっと外を眺める姿に
ひとすじの涙を見つける
はじまる前に終わっていた過去があふれ
秒針が
左回りを始めた
きっと今なら
部屋の引き出しに異空間への入口がある
ビル・ウィザースの曲の訳と強いひとの条件を問われ
二十世紀のセックスシンボルに
ローレン・バコールとボー・デレクの名をそれぞれ挙げる
サンフランシスコと頭の花には
すかさずスコット・マッケンジーねと笑い
マルタの鷹とキー・ラーゴで目を点にした
はかないペルセウスには子どものようにはしゃぎ
真新しい包帯には子どものように泣き崩れ
細すぎる小指には子どものようにごめんねと口にする
導かれるがままに導かれ
包まれるがままに包まれた
六年以上の月日を経て
変わらない八年は色を覚え
少しずつ埋まってゆく
部屋にその面影はなく
くすりゆびは身軽でも
いまだに先生と呼んでしまうひとの傍ら
たしかに付きまとっている永遠というものが
どうしても舌に絡みつく
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