ふたり/草野大悟
ふたり、
ってなんだろ。
あなたと撮った
ふたりの
写真を見ると
いつも
あなたは
おれの右腕に
ひしっ、と
左腕をからませ
笑っている。
「満面の笑み」
との形容そのままに。
ひしって。
小学生のときの撮影で
担任の先生に
ひしっ、て
してたのと
おんなじように
ひしっ、って
笑っている。
笑ってよ。
太陽そのままに。
あの日のように。
笑ってよ。
光のように。
いつも
そうあったように。
どんなに
かれらが
あなたの
右前頭葉を破壊したとしても。
笑おうよ
ふたり。
ただ
あなたの
笑顔だけを、
あなたの
光だけを
とりもどす、
ただ
それだけのために
これからを
生きてゆこうよ。
風のように
雲のように
海のように
木のように
光のように
海のように
雨のように
山のように
あなたを
寝たきりにした
あの手術の日から
三年目の
今日
ふたり。
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