冬の雨夜/百瀬朝子
 
乱雑な思考回路
見えない絆と契約に
踊らされていた雨の夜

頼まれれば「はい」と言う
素直さなんかじゃない何か
ドロドロで汚い何か
舌打ちする自分を脳に描き
唯一のはけぐちにする

冬の雨は冷たくて
針のように突き刺さる
肉体を突き抜けて心まで串刺し
この雨がいっそ
雪になればいいと願っても
本当はもう少し
この痛みに体を捧げていたいんだ
僅かに息づく罪悪感を
償うかのように

「ごめんね」と謝るくらいなら
悪いことなんてしないよ
悪いことをするその覚悟は
絶対に謝らない決意とイコール
時にそれは相手だけではなく
自分自身さえ傷つけて
血まみれ瀕死のあたしたちが
ごろごろあふれる
冬の夜の雨が洗い流そうと
零度と氷点下の狭間で戦う
雨が凍って雪にならぬようにと
雨が凍って雪にならぬようにと
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