「冬の到来」/広川 孝治
 

なくなってはいないのだ



風が収まり静に満ちた世界
見上げる僕の目は
次々と降り注ぐ
白いかけらを見つめている
季節の主役として記憶され
降り積もり街を飾り
ひと時凍えさせるが
やがて消えゆく運命のかけらたち

その到来を教えてくれた
手のひらに消えて行ったひとひらの雪よ

僕もお前と同じように
あわくはかなく消えゆきたい

時代の到来を知らせるものとして
変化の警鐘を鳴らすものとして

それで良い
それで十分だ・・

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