笑い男/aidanico
った息が漏れる
ぴいいんとはった
冷たい空気を揺らすために
暖かい国から流れ着いたのだと言う
おさげの少女と
獰猛な中に安らぎを秘めた
旧知の友と
音階を持った言葉を喋る
少しばかり陽気な友人と
ぼろを纏った
笑い男、
下に縫うように走る
混凝土に
眼を落として
今も明日も
変わらないと確信し、
*
バスは止まる
物語の最後を
決して語ることなく
若い男女が
結ばれて、解けるのを
見届ける代わりに
―――「おい、お前、物語の最初は必要ないのかい」
そんな物は
幾つも転がっている
コートに身を包む人の群れの中に
老人から餌を摘む鳩の群れの中に
物語の最初は
幾つでも、
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