冷たい鳥/智鶴
始まることのない夜と
故に来ることのない朝が
裏側の世界で目覚める頃
静かな雨に、私は鳥のように濡れて
争わないということは、何も得ないことだと
誰かが唱えていた
それなら、私は全裸で凍えていよう
失うことが酷く哀しいから
始めから狂ったふりをして
ただ白痴のように
美しいものはいつも儚く
銀色に魅せられたように溶けてしまう
乾いた腕で
誰も知らない夜を崩して
遠すぎる迷路の中に
太陽を落としてきた
もう何万回も生まれ直して来たかのように
何千回もの死に疲れてしまったかのように
ゆっくり私は腐っていく
美しい筈の
今はもう塵のような星が
宙を舞うには少し重すぎるようで
ただ、堕ちるだけ
冷たい雨に打たれて
もう飛べなくなった鳥が
月を恋い焦がれるように
仰向けになって
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