球体/aidanico
 

星も出ない夜、
寒さに静まり返り
冷たさだけが
消えた街灯の下に
佇んでいる
よる、

眠りに付こうとする
皺だらけの手が
手を伸ばすと
両の肢がでる
大地は俟っている

お前よ、
何を泣く
寝床の温ささえ
知らないのに



目を開いて睫を
両側から見詰めている
群青の、
眸が



両生類
その類の
鰭のあるぬらぬらとした
体を撓らせて、落ちた、淡い桃色の
滴るような肉を
喰らう
音が
聞えて
居るのに
未だ動かない



季節外れの蝉が鳴いている
褐色の皮膚は脆く
ぱらあ、ぱっぱらり、


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