voice, voice, voice/草野春心
 

  声、声、声の中に死んでゆくものがある。声
  声、声の中に生れくるものがある。ひとは命
  と呼ばれ、命と呼ぶ。そんな声の中に、死ん
  でゆくもの、生まれくるもの、在るものが、
  光。であって。



  声、声、声の中に立ち尽くすひとがいる。声
  声、声の中に歩みだすひとがいる。音は形を
  変えて、律、言葉となる。文字の渦の中に、
  生れくるもの、死んでゆくもの、在るものが
  影。であって。



  (ひとつ、朝。
   拓いてゆけば、
   露に濡れた
   草、土、青空。



  声、声、声の中に死んでゆくものがある。声
[次のページ]
戻る   Point(1)