voice, voice, voice/草野春心
声、声、声の中に死んでゆくものがある。声
声、声の中に生れくるものがある。ひとは命
と呼ばれ、命と呼ぶ。そんな声の中に、死ん
でゆくもの、生まれくるもの、在るものが、
光。であって。
声、声、声の中に立ち尽くすひとがいる。声
声、声の中に歩みだすひとがいる。音は形を
変えて、律、言葉となる。文字の渦の中に、
生れくるもの、死んでゆくもの、在るものが
影。であって。
(ひとつ、朝。
拓いてゆけば、
露に濡れた
草、土、青空。
声、声、声の中に死んでゆくものがある。声
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