うろこ/タマムシ
季節のせいだろうか
皮膚がうろこみたいに剥がれてゆく
少し前まで自分の一部だったものが
まるで別の存在に思えるのは
過去の自分を愛せず
そして許せないのと似ている
(あるいは受け止められないという感情)
拒絶するように
わたしから剥がれ落ちたうろこは
わたしの小さな屍
けれどその繰り返しが
実は生きている証拠だなんて
なんだか矛盾しているように思うけれど
季節のせいだろうか
見上げた空には
うろこ雲になりきれなかった白いかたまりが
どこか不器用に漂っているように見えるのも
きっと気のせい
そうしている間にも
わたしは何枚ものうろこを脱ぎ捨てて
それでもわたしであろうとすることをやめない
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