小さな窓の中/K.SATO
僕は
夢の中では
孤独に感じない
そこにいるのはいつも
たったひとりの僕なのだけど
靴やカバンの革だった
赤や黄色などに
入れ替わる景色の色たちに
夕べ見えたのは焦げ茶色
現実の僕はひとりぼっち
ランドセルの楽しげな声たちに
どぶに響く微かな
足に当たった石ころ
暮れていくおおきな夕日に
手をつないでいく子や
自転車をこいでいく子たち
小さな窓の中に
僕はいた
誰の心よりも
どんなものよりもリアルな
あの夢の色に
手をのばしていった
大人が愛する人へ
知らないままに戻れない道を行くように
足を踏み込んでいく
少年がいた
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