ファミリー・コンピュータ/木屋 亞万
視線が集まる)
(それで僕は銃を向けられた牛のように怯えながらゆっくりと席に着く)
テレビの前に座り、お気に入りのアニメを見る
(僕もあんな風に思ったままに、想いを叫べればいいのに)
(チクチクと遠まわしに、ボソボソしゃべるのをやめて、だ)
お昼には冷蔵庫の冷凍食品をチンして食べ、
食器を軽くゆすいだ後で、もう一度テレビの前に座る
今度はゲームをする、ファミリーコンピュータを引っ張り出して
ゲームの世界へ没頭していく
(その中で僕には武器がある、魔法がある、セーブすることができる)
(世界を平和にすることができる、人を救うことができる)
午後3時を過ぎて、4時を回る頃
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)