気が付けば、紺の/アオイリョーキ
 
耳を塞いで
鳴らすように駆け登り
落ちていく
落ちて行く途中さ、
すくわれて
ゆっくりと地上へ立つ

飛び出して
飛び込むように、
そこには
何もなかった

拾った
歪な四角形の
硝子
いざとなればこれで
世界を
私を
赤く染める覚悟がある
その割れ目から
紺が
湧き上がり
湧き上がり
むくむくと覆い
静寂を作り
そして暴れ出す夢を作り
気が付けば
割れ目は閉じ
紺が
世界を作ってしまったのだ

その中で
生まれた私は
堪え切れない空気の中で
漂い
しぼんでいく

空白の中で
全てをなくしたと嘆く
けれども
彼らは
なくしてしまったものを
思い出せずに
何も持っていないと
何も持っていないのに、

忘れてしまったのか、

空白の中に
飛び出したあの日に

何もないあの日の空気
紺色を、していた

何も持たず
何もなく
私と一緒に生まれた紺が
気が付けば紺が、
諭し、彩る
秋の夕暮れだ
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