零雨/こしごえ
 

あをすぎる(遠いおもいでの予感
 日輪のうるんでしまう
 空ろなカラスアゲハの羽音に
 さようならを果たすべきころあい。
水影かしぎつづける岸のほとりを
黙礼する雲の視線は
暈の鎖骨をすすみ密やかなアイロンの血判に降る

いけない
みちるしずけさ(です
いつかしら
私とめぐりあわなければならなかった私
いずれにせよ
つみとれない亡霊果実
黙秘する雲の
生あたらしい視神経から零れしたたる。
宙のすくいあげる深いまなざしにふちはなく
死であろうともこの魂をうばうことは出来ぬ
ひっそりと 青葉のゆれる 波紋の 縁の ないように

まだである
ふりかえればあわ
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