プール/梶谷あや子
 
失望のレストア
少しでも見たくない顔を見せて、
最後だけ巧く出来たって
きっとすぐに忘れてしまう
融解する手紙の背景が
何処にも流れない 鬱血を
撥ね揚げる、
残った者みなに愛されていた
可憐なふたり
半身だけの力強さを
不意に噴き出した模造品にすくわれて
いつしか拾われず
きみは花束になったのだろう




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