階段のむこう/とんぼ
放課後の教室で
きみは階段をつくっている
けしごむやペンを並べて
足りなくなると
ぼくのまで使って
ふでばこも教科書もかばんも机も
なんでも使って どんどんのぼる
きみが あんまり必死なもんだから
いったい どこへ行くためのものなのかと尋ねたら
きみは右手をすこし上げて
空の みず色が濃くなったところを指さして
昨日まあちゃんが死んだのと短く答えた
ああ、そうか
ぼくはうなずいて
となりの教室からホワイトボードを運ぶのを手伝った
お葬式よりたいせつなことを
きみは知っている
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