空/佐藤伊織
 
いつかみたのは幻なのか彼女の手を
握った夢をみた

夢をみた

小さな手 空
澄んでいた

蒸気があの空中を縫って漂うように
あの頃散っていった一つ一つ
澄んだ空に散らばる小石を拾う

それはどこまでも小さい扉を開け続けていく行為なのだろう
小さな扉の先に ひらひらと舞う腕がみえる

夢をみた

俺は拾った小石をポケットに詰め込んで
冷たい空を開き続ける



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