空/
佐藤伊織
いつかみたのは幻なのか彼女の手を
握った夢をみた
夢をみた
小さな手 空
澄んでいた
蒸気があの空中を縫って漂うように
あの頃散っていった一つ一つ
澄んだ空に散らばる小石を拾う
それはどこまでも小さい扉を開け続けていく行為なのだろう
小さな扉の先に ひらひらと舞う腕がみえる
夢をみた
俺は拾った小石をポケットに詰め込んで
冷たい空を開き続ける
[グループ]
戻る
編
削
Point
(5)