伸びよ蘖/餅月兎
 
刈入れを終えた田圃では
実りを待たれることのない蘖が
青い頭を覗かせている

下向きの気分が伝播するのはとても容易く早く
そのあと
荒れた土地で希望はなかなか芽を出さない

それでも
蘖は毎年のように天へ向かって伸びようとする

実りを待つ者もいないのに

過ぎ行く日々の速さにため息をつきながら
カレンダーをめくる手をふと止めて
落書きしてみよう
僕の名前の隣にあなたの名を
それはささやかな明日への願い
虚しさ溶かす自分との約束
寂しさと馴れ合うためのセラピー

例えば
僕とそっくりの少年の名
いつもルームミラー越しに目が合う
君にいいところを見せた
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