夜の椅子/いねむり猫
 

夜の小さなカウンターで
 一人ぼんやり飲んでる

 酒を口に運ぶのも忘れて 大きな窓から街を見ている

 街灯は 光の届かない闇の居場所を示している
 光より闇にひかれる 人の顔など見たくもない
 
夜の孤独が私を 飾りのない白い壁に貼り付ける

 私は 頭を打ち抜かれた死体のように 目を見開いて  

明るい店の中に座る私を だれも見ていない 

こんな夜は
街をさまよい歩いても 店で飲んでいても おそらくは同じだ
 
 どこにいても 私の焦りは 白く照らし出されて 
苛立ちの中で 目を閉じることが できない


ふと逃げ込んだ路地裏で 
ゴミ箱の
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