点在の火/塔野夏子
分光器の憂鬱
天象儀の退屈
を あざやかにうちやぶる角度で
挑むようにひらり舞い込む
あやうい好奇心
極光のように繊細な予感を追いかけて
けれど焦れても
いちばん深い記号は
そうたやすく投影されはしない
そしてわからなくなる
試しているのか 試されているのか
分光器の退屈
天象儀の憂鬱
を あざやかにうちやぶる輪郭で
眩むようにひらり身をかわす
きわどい好奇心
けれど少年だから
透かし見せてしまう
意識の向こうに絶え間なく震える
点在の火
個人サイト「Tower117」掲載
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