掃除せよ/K.SATO
動物はゴミを捨てない
手にゴミを捨てない 足に
土を蹴るだけ 動物は
捨てない 何も 自然の中で
人間はゴミを捨てる
体じゅうからゴミを捨てる
青いトラックの巨大な後ろから
幾千数もの欲望の殻を投げ捨てていく
僕はそれらを書く
書くことでいろいろな姿を奪い
とんがったペンで自分を満たして
詩としてどんどん排出する
ゴミを掃除すべきなのはほかでもなく
僕だ 事象を書いた罪人のほうきを持たされて
掃くより
削り掃除に
徹するべきだろう
積み重なった言葉たちは
風に吹かれても残される
コンクリートをもひび割らす
真っ黒な苦悩の塊を 今日も
僕は夜半過ぎまで投棄し続けている
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