i do/aidanico
 
っていたシャボンの香りがくどくなるまでただただ精密な機械のように同じ場所を拭き続けていた女は思った他人の吐瀉物をにおいも酷い中で無心に取り除こうとする男を馬鹿に真面目な奴だと思う一方でその真摯さに一種の尊敬の念を覚えるのだった斯くして夜が開け男は埒が明かないと呟き作業を中断し眠りに付くから適当に帰ってくれと言った/まだウィスキーの匂いがする、と男は言いまだウインナーの匂いがする、と女は思った/どちらにしても絨毯について欲しくない香りである事は明らかであった/ウイスキーは女が持ち込んだものであった/男はよくもこんな薬品のような酒をそれ程飲めるものだといった/女は既に十五分程で瓶を半分開けていた/摘み
[次のページ]
戻る   Point(0)