ひとつ むすぶ/木立 悟
なだらかな
未分化の稜線
言葉少なな
ひとつの泡
曇間の明かり
水が水を分ける音
一枚の葉
星の裏まで
同じ大きさ
旧い川に
ふいに沸く銀
水たまりの底
息をふく青
空から空へ
たどりつく火
灰の舳先が
曇を分ける
音は点き
目をふせ
光は鳴る
夜のなかの 夜の塊り
よけては触れる繰りかえしたち
冬の城には水しぶき
こだま こだま
流れる息のかたちたち
白のなかの無数をわたり
音も色も水から空へ
水から空へ傾いてゆく
悲しい羽 悲しい糸
いつか分かれ
離れるものを結んでゆく
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